以下、さきほどアップした「統一性の追求(1)」(概論部分)に続いて、書籍『孤独―新訳』アンソニー・ストー著、第10章の自己の内部に統一性を追求した個人の例として、カントとヴィトゲンシュタインのパーソナリティについての、引用メモ。
創元社
アンソニー・ストー(著)
発売日:1999-03
おすすめ度:


人間関係だけが有意義と言うわけではない

情報化社会における「孤独」の意味

名著

創造性の源

Lonleyではなく、Solitudeであること。
第10章 統一性の追求(2)
★今まで提起したことが正しいとすれば、対人関係を最大の関心事としない人生に意味と秩序を発見したいという要求に特別に心を奪われている個人の特徴としては以下が考えられる。
・内向性が強い
・親密な関係を避けたり、関係をつくることに困難を覚えることが多い
・自分の物の見方を自主的に発達されることに特に関心を持ち、他人による早まった詮索や批評から自分の内的世界を守り、普通の人ほど他人の考えに左右されることがない
・自尊心と個人的な充足感の主要な源泉を、対人関係よりもむしろ作品に求める
→人間関係を避け、自分の研究を詮索から守り、自主性に強い関心を抱き、自尊心と個人的な充足感の主要な源泉として自分の研究に頼る、ような人。
#よって、対象関係論者の主張とは異なり、対人関係が人間の安定と幸福の唯一の源泉ではないという仮定が正しいとすれば、対人関係によって充足感を求めるのではなく、自分の仕事によって、人間に通常思いがけなく訪れる程度の安定と幸福を達成している人を、別に示すことができるはずである。
#私たちは皆、世界の中になんらかの秩序を見出し、自分の存在をいくら解明する必要がある。そういう探求に特別に関わる人たちは、対人関係が情緒的充足を見出す唯一の手段ではない、ということを証明する存在である。
★西洋の最も独創的な哲学者たちの大訓は、知性的に非凡であっただけでなく、他の面でもまた並外れていた。哲学者たちが取る精神的姿勢は、極めて独創的な科学者も含めてほとんどの科学者が取る姿勢とは、かなり異なっている。
★カント、ライプニッツ、ヒューム、そしてバーグレイが揃って主張したことは、自分が哲学に貢献できたのは、先人たちの影響から逃れて、過去につながっていない自分の自主的な道をたどったことによるものだ、というものであった。また、ヴィトゲンシュタインも同様の主張をしたが、彼もまた、内向性の哲学者の一例であり、ことのほか孤独を尊重し、外からの影響はほとんど受けていないと主張し、事実、自尊心の主要な源泉を自分の業績に求めた。