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最近、夜な夜な、ミシェル・ウエルベックの『闘争領域の拡大』を読んでおりましたが、ようやく精読完了。

なぜこの本を読み始めたかというと、ちょっと前に、わたしが最近凝っている男性学研究について彼(まぁ、夫なのであるがこのブログでは彼で通しますw)に話したら、「おお、それは凄まじい!ウエルベックを超える試みだなぁ~」を言われ、ウエルベックを読んだほうが良いらしいことがわかったからである。(ウエルベックの著作は彼に借りた。)

ウエルベックは『素粒子』(ちくま文庫)という作品が特に有名で、最新の日本語訳作品は『ある島の可能性』。すべてにおいて「性的魅力の格差」を描いているフランスの作家である。で、今回読んだ『闘争領域の拡大』は、どういう作品かというとこういう感じ(↓)。

完全に自由なセックスシステムになると、何割かの人間は変化にとんだ刺激的な性生活を送り、何割かの人間はマスターベーションと孤独だけの毎日を送る。経済の自由化とは、すなわち闘争領域の拡大である。それはあらゆる世代、あらゆる社会階層に向けて拡大している。同様に、セックスの自由化とは、すなわち闘争領域の拡大である。それはあらゆる世代、あらゆる社会階層に拡大している。」(P112『闘争領域の拡大』)


この作品は小説という形式を採用しつつ、その内容はほとんと哲学、という感じなのですが、「マジメにすごいよ、ウエルベック♪」と思った~。これを10年以上前に書いただなんて、それもこれが処女作だなんて、すごいとしか言いようがないですわ♪

人間のオスの半分以上は、人間のメスから見れば、遺伝子を残したいと望む存在ではなく、単に労働力であり、ムダな存在なのに、それでも、ムダです、と言われるのを恐れているのね~。

というようなことを思ったことがある方ならば、男女問わず(楽しく、はムリかもしれませんが)「興味深く」読めると思います。ウェルベックは、性的魅力がなく女に相手にされない男の切実さををちゃんとわかっていて、恐ろしいまでに的確に描いている。性的魅力の無い男たちが、いかに醜い行動をとっているのか、いかに精神的に汚れているのか。これでもか、これでもか、と、的確かつ直接的な表現で訴えかけくる。
たとえば、こういう感じ(↓)で。

「ずっと前から駄目なんだ。最初から駄目なんだよ。ラファエル、君は絶対に、若い娘が抱くエロチックな夢をかなえられない。仕方がないものと諦めなくてはいけない。自分はこういった物事に縁がないことを受け入れることだ。いずれにせよ、手遅れなんだ。いいかい、ラファエル、セックス面における敗北を君は若い頃から味わってきた。十三歳から君につきまとってきた欲求不満は、この先も消えない傷跡になるだろう。たとえ君がこの先、何人かの女性と関係を持てたとしても-はっきりいってそんなことはないと思うけど-それで満たされることはないだろう。もはや、なにがあっても満たされることはない。君はいつまでも青春時代の恋愛を知らない、いってみれば孤児だ。君の傷は今でさえ痛い。痛みはどんどんひどくなる。容赦のない、耐え難い苦しみがついには君の心を一杯にする。君には救済も、解放もない。そういうことさ。」


で、読む者は、どうしようもない救いの無さに、同情し、ある瞬間、一体化するのである。不細工で性格も悪くて、どこか勘違いしている、「ちくちょう、28歳にもなって童貞だ」と叫ぶラファエルは、まさに救いの無さの局地であり、当然の如く、死ぬ。もちろん、童貞のままで。 。

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テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌


















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