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以下、この前に引き続き、塩野七生センセイの著書男たちへ―フツウの男をフツウでない男にするための54章 (文春文庫)
より引用。これは、塩野センセイのエッセイの中でも、切れ味がかなり良い部類のものです。


★マザコン礼讃(p174-181)
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マザーコンプレックスという言葉は、良い意味で使われることがない。マザコンといえば、いつまで経っても乳離れしない男たちを指し、しばしば、昨今のオトナが昨今の若者を軽蔑するときに使われる。そして、そういう場合、オトナの男たちの非難は、というより軽蔑は、若者たちをマザコンにしてしまった母親たち、つまりオトナの母親に向けられることが多い。教育ママと、同じ感覚で使われるからであろう。

たしかに、母親たちが息子を通して実現しようとする目的が、良い学校に入れてよい就職先につなげようとする程度のものが多いから、軽蔑されても仕方がないのである。最愛の息子に託すのが、この程度の低い水準で達せられる夢とは、なんともはや情けない。母親と同性の私だって、そう思う。

(略)それで、もう少し水準の高いマザコンに話を戻すが、母親の影響力が強いということも、二つに分けて考えねばならない。

第一は、息子がもともとたいした“でき”でないために、たいした“でき”でない母親でも、影響力をふるえるというケースである。

第二は、息子もなかなかの“でき”なのだが、母親もそれに匹敵するほどの人格の持ち主であるために、息子のほうが影響を受けざるをえなかった、という場合だ。

第一のケースは、これまでに述べた低い水準のマザコンを生む土壌となるものだからここでは触れず、第二のケースのみを考えてみたい。

(略)アレクサンダーもそうだったが、シーザーも、可愛いだけが取り得の女に惚れていない。シーザーの場合は典型だが、クレオパトラのような、男に伍しても立派にやっていける女を愛している。これは、異性の才能に敬意を抱くのが普通の環境にそだった、男の特色ではないだろうか。なかなかの“でき”の母親を見慣れているものだから、なかなかの“でき”の女に、抵抗感を抱かないのである。

父親不在と呼ばれる現象が、とやかく言われすぎるのが昨今である。だが、動物の世界を見てもわかるように、父親はタネをつけた後は不在なのが当たり前であって、始終居られたら、そのほうが異常なのである。

タネだって、われわれ母親が、あなたのだ、と言うから信じたのであって、ほんとうのところは、われわれしか知らない。もしも息子たちの“でき”が大変に良かったら、タネは、神とか精霊とか言ってすましていればよいので、そのタネを育てるのは、絶対に母親の権利である。マザコンなどどいう蔑称にびくつくことは、まったくないのだ。堂々と、母親の影響力をふるいつづければよい。

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★インテリ男はなぜセクシーではないか
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(略)男が女に魅力を感ずるとは、所詮、その女をだいてみたいという思いを起こすことであり、女が男に魅力を感ずるとは、その男にだかれてみたいと思うことに、つきるような気がする。

頭の中身も容姿も、この種の健全なる欲望を補強する程度の働きしかない。健全で自然で、人間の本性にもっとも忠実なこの欲望を刺激するのが、人のもっている魅力というものだろう。

インテリ男がセクシーでないのは、補強する程度の働きしかもたないものに、最高の価値をおく生き方をしているからである。ばかばかしいことを、ばかばかしいとはっきり述べる、自然さをもたないからである。

それどころか、いかにもっともらしい理屈をつけることに、全力を集中しているからなのだ。これらの男たちから「男」(マスキオ)が感じられないのも、当然の帰結にすぎないと思えてくる。

俗にいうインテリ男たちの特徴の最後は、小さな野心しかもっていないということだろう。欲望はもっているのだが、それがなんともけちくさい。

だから、政治家からお声がかかると、みっともないくらいにすぐさまなびく。財界のお偉方から接待でもあると、芸者より早く駆けつける。芸者は花代をもらっているのに、インテリたちは一夜の夕食との引き換えなのだから、それはみっともない以外のなにものでもない。

なにか自分の心中に実現したいことがあり、それをするのに権力が必要ならば、これもかまわない。灰色だろうがクロだろうが、権力者を利用するならばかまわない。だが、利用されて自己満足しているのは、ただ単に、見苦しい振る舞いにすぎないのである。

私たち女は、男を尊敬したくてウズウズしているのである。男たちよ、その期待を裏切らないでください。そうでないと、私たちの愛を、誰に向けていいのかわからなくなります。子供に向けてみたって、そんなのは子供が成長するまでの話ですものね。(p218)

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ちなみに、昔から私も、いわゆる「インテリ男」は嫌いなのですが、これを読んでその理由がはっきりとわかりました。今度、インテリじみた助教授センセイと話すときに、この塩野センセイのエッセイを武器として用いることにします(苦笑)。
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