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引き続き、苫米地英人著『洗脳原論』第5章の引用メモ。(第3章・第4章のメモは無し。)
洗脳原論
春秋社
苫米地 英人(著)
発売日:2000-02
おすすめ度:4.0
おすすめ度4 現代の宗教問題を考えるとき、必読の文献!
おすすめ度4 呑気なことは言ってられない!
おすすめ度1 説得力に欠ける
おすすめ度4 日本が誇る天才、苫米地先生の洗脳とは何ぞや?
おすすめ度3 『影なき狙撃者』みたいだけど・・・

【目次】
第5章 アメリカ洗脳事情
●古典的洗脳
●感覚遮断実験
●ビジネスへの応用
●宗教カルトの誕生
●統合される宗教カルト



第5章 アメリカ洗脳事情

現在アメリカでは、社会から逸脱した方向に傾斜する恐れのある団体が2000以上あるといわれている。それらは集団自殺を計る可能性だけでなく、自分たちの思想が受け入れられなかったとき、外界の社会に対して過剰なまでの攻撃に出ることも考えられる。

カルト対策について日本とアメリカで決定的に違うのは、そういった団体があからさまな反社会的な行為を実行したときである。日本ではいったん警察組織の力で勢力が衰えるものの、その後勢力を盛り返してきたとき、組織をつぶす何の決め手も持たないのに対し、アメリカではFBIを含む連邦機関が、その組織を徹底的に解体し破滅させてしまう。


●古典的洗脳
歴史的にいえば、政治団体としてのアメリカが一番最初に現代的な洗脳と呼ばれるものを学んだのは、かつて中国共産党が行っていたといわれているものからである。この技術は、ブレイン・ウォッシングと名づけられた。

洗脳技術は、1950年代初頭に勃発した朝鮮戦争中、捕虜となった米軍兵士に施され、彼らが帰還した後にその体験を証言したことで公となった。

現在、洗脳の技術について一番研究が進んでいるのは、認知心理学が発達しているアメリカに間違いはないだろう。とはいえ、洗脳の本格的な研究が始まったのは1960年代に入ってからであって、実質30年ぐらいの短い期間で生み出された技術に過ぎない。


●感覚遮断実験
人間は感覚を遮断されると特殊な意識状態になってしまう。その状態は現在、変性意識状態と呼ばれる。宇宙空間や外的な刺激から一切遮断された密室では、人は夢を見たり、催眠状態になったり、酒を飲んで酩酊したような状態になるが、これは変性意識状態の症状である。

カナダ国防省は、1950年から57年ごろにかけて、年間1万ドルの研究費を感覚遮断実験に投入した。この研究結果をもとに、アメリカでもCIA予算で、洗脳の手法を解明する目的で感覚遮断実験が研究されるようになった。

この結果、1957年にCIAの科学者アルバート・ビダーマンが論文を発表し、それによって一般の学者にも感覚遮断の危険性が認知されるに至った。認知心理学や実験心理学の分野に入る心理研究も、もともと軍事的な要因があって研究されてきたものが多い。


●ビジネスへの応用
ヘッブらによって明らかにされた洗脳的手法は、その後、経済的な分野と精神的な分野のふたつの分野で応用されていく。経済的な分野というのは、ビジネスで儲けるためにその手法を用いることである。日本にも睡眠商法とSF商法と呼ばれる形で伝わっている。

人の心を商品を買わせたりする方向へ操ることができれば、当然、経済的なメリットは非常に大きい。洗脳かどうかギリギリのグレーゾーンで成り立っているやり方も見かける。いわゆるネットワーク・ビジネスで、日本経済新聞社などに堂々と広告を出すような会社も日本に入ってきている。これは洗脳ではないといわれるかもしれないが、少なくともその根源に、明らかな洗脳的手法があることは間違いないだろう。

ビジネスに応用されているテクニックには、さらに微妙なものもある。たとえば、ミルトン・エリクソンの弟子たちは、ビジネスマンを相手に説得力のある話し方や、相手が自分の言うことを聞いてしまう交渉のしかたを教えるセミナーを頻繁に開いている。

たとえばNLPセミナーと呼ばれているものがある。目の動き、言葉のペーシング、どんな動詞を使ったら相手に体感的な繋がりを感じさせることができるか、など、セールスのための表現戦略を教える。

一見問題なさそうだが、受講したセールスマンが学んだことを利用して、何も知らない無防備な顧客に商品を売りつける可能性はある。それが顧客のためでなく、セールスマンの一方的な利益のためであれば、洗脳的手法を用いたといわれても抗弁のしようがあるまい。


●宗教カルトの誕生
LSDやマリファナに代表される小グループでのドラッグの使用が、実は現代的なミニカルトのはじまりである。その際、ドラッグによって強烈な変性意識が引き起こされるからである。

そのなかで、自然に、踏み越えてはならない心の未知の領域、第1章で触れたダークネス・バウンダリーを超えてしまう人が出てくる。ダークネス・バウンダリーを超えてしまった人格的に未熟な人は、オカルトに走るかカルトに走ることになる。

カルトに走る人も、もちろん本人にカルトに走っているつもりはない。宗教の道を選んだつもりになっている。カルトと宗教のあいだに本質的な差異があるかどうかはここでは吟味しないが、カルトは破滅的で宗教は建設的なものという違いを、とりあえず目安にしておく。

しかし、内容を吟味できない状態で、はたから見るならば、カルトと宗教の差は単に宗教家の立場の差にすぎない。その意味で、カルト(本人にとっては宗教)に走るというのは、物理的な生産性を放棄する集団に走るという精神状態であることを示している。

本来、ミニカルトは組織を広げようとはしない。彼らはもともと外交的な社会的欲求が乏しいからこそ非生産的なドラッグや精神療法に走った人々なので、欲求の方向性は内向きである。よりトリップしたい、より癒されたい、と思うことはあっても、社会的に影響力を持ちたいとは考えない。

しかし、そこに擬似宗教的なファクターが加わると、外側への成長性を持つようになる。組織化が必然的に行われ、それが教団と化したとき、必ずグループは外側へと広がっていく。生物が器官をどんどん広げていくように、教団という組織になった瞬間から、その教義を周囲に認めてほしい、世の中を信者から見てよく変えたいという欲求が強まって、拡大を始める。

このような経緯からか、アメリカでは世界でも悪い意味で有名なカルトが多数生まれてしまった。そのなかでも歴史に残る最も凶悪なカルト教団が、アメリカから南米ガイアナに移住し、大規模なコミューンを形成した人民寺院であろう。

最近の事例で記憶に新しいのは、テキサス州にあったブランチ・ディビディアンの1件である。「神の王国を築くために地上の邪悪なものどもを一掃する」と予告し武装化していたのだが、1993年4月19日、FBIが強制排除しようとした際、教祖デビッド・コレシュはみずから施設に放火、集団自殺を図った。犠牲となった信者は94名。教祖はフリーセックスを提唱し、妻は18人いたという。

補足すれば、日本のオウム事件のようなことがアメリカで勃発したなら、即刻死滅させられていたであろう。オウムのような団体は、宗教団体としては扱われず、テロリストとして扱われるから当然である。


●統合される宗教カルト
現在のアメリカにおけるカルトは、系統的には、キリスト教系の団体、仏教系の団体、インド哲学をベースとしたヨーガ系の団体の3つに大きく分けられう。イスラム教系の団体もあることはあるが少数派であろう。

これらの団体は、世界のメジャー・レリジョンの派生系という形態をとっている。私なりの意見を述べるなら、メジャー・レリジョンというのは、宗教の生存競争を勝ち抜いてきただけであって、それだけ強力な求心力を持っていると考えられる。

それに、新しく教義を作るより真似たほうが簡単である。また教祖自身が最初どこかの宗教に帰属していたというケースも多い。日本でも新興宗教は既存宗教の形をとっているが、またその教義を借りている。いずれにせよ、ミニカルトからまったく新しい教義体系の宗教を興すには、教祖自身が極めて賢いか、優秀なブレーンが存在しないと不可能であろう。

とにかく、ミニカルトは、メジャー・レリジョンの揺るぎない教義を内包した瞬間、内部に階層性が生まれ、自己組織化がはじまる。ヒエラルキーに縛られた信者たちは勧誘活動に呪縛され、極端な場合、組織は破滅的カルトへの道をたどる。

破滅的なカルトの典型的なパターンは、まずメジャー・レリジョンの教義を片手に、「自分たちだけがこの教義の正当な解釈をしている」と主張するようになることである。

しかし、本来のメジャーな宗教はすでに社会に浸透し、承認されているため、メジャーから異端とされる宗教団体は必ず社会に迫害される。日本以上にアメリカは、異端宗教に寛容ではない。いくら日曜日に教会に行かない人であっても、信仰している宗教には似ているが、一種異様な宗教集団が町に入ってくることを快くは思わない。

ところで90年代に入ってから、アメリカにおいて、こういったカルトが巨大な組織に吸収されていく傾向があるように思われる。それは大きくいって2つの団体が中核となっているようである。

ひとつは、キリスト教から派生した統一教会、もうひとつは、7500万年前に水爆で死んだ宇宙人の霊が人類にとりついているとする、まったく新しい教義をもつSF作家が開祖であるサイエントロジーといわれている。こういった傾向を、本来オカルトに寛容でないはずの米国政府が容認しているように見えるのは、これらの団体が、ブランチ・ディビディアンやオウムのよなテロ行為に走る危険性がないと判断しているからかもしれない。

しかし、こういった団体の規模が、今後、10倍、100倍に拡大していくかというと、そうは思えない。カルト団体が与えるものと、アメリカ人が求めているものが、どこまで合致するのかを考えたとき、そういった集団が提供できる内容は所詮マイナーでしかない。これらの集団が培ってきた教義や価値観は、もともと人口1000人に1人程度のニーズであろう。そのなかにも組織に所属するメリットがある人とない人がいる。そういう人口のなかの少数派が、現在のカルトを形成しているのである。

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