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『ザ・フェミニズム』をマトモに読む第7回目。前回は、法律婚そのものの必要性は問わず、現行の法制度を所与とした上で書きましたが、今回は、タイトル通り、「結婚制度の廃止」を巡っての論点をまとめ。
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趣旨をまとめますと、ウーマンリブの流れを汲んだ一部のフェミニズム思想、一部のリベラリズム、そして、リバタリアニズムの各主張の「共通点」として、理論的には「結婚制度廃止」という論点があるわけです。

が、理論上はそうであっても、現実的には、いきなり結婚制度を廃止しますと、法律婚をなさっている方々は、いったん全員離婚することになってしまいますし、行政手続き上、混乱が生じ、面倒なことになってしまうと予想されます。なので、個人的には廃止ではなく、「多様な結婚形態を受け入れる」というヨーロッパ型リベラリズムの方法を採用したほうがいいと思いますし、現実的にはそれしかないんじゃ、とも思います、はい。

で、以下、まず、「結婚制度廃止」という論点整理のため、ウーマンリブの流れを汲んだフェミニズム思想の例として上野千鶴子さん、次に、一部のリベラリズムの主張の例として、弁護士の角田由紀子さん、そして、リバタリアニズムの主張の例として、法哲学者の森村進さん、それぞれの主張を引用しまとめます。

【フェミニズム思想;社会学者 上野千鶴子さんの主張】

上野:(略)理由を言いますと、別姓だろうが何だろうが、要するに異性愛のカップルに法的な特権と経済的な保護を与える、という制度そのものがナンセンスだから止めなはれ、と

で、異性のカップルで、二人で末永く仲良く、お互いにルール破りをしないで、一穴一本主義でやりたい人は趣味でやったらよろし。そんなものに法的な届出や保護を求めなさんな、ということですね。(p113、『ザ・フェミニズム』)


ということで、結婚制度は必要無し、と。なお、『発情装置 エロスのシナリオ』にて、さらにわかりやすい記述がありましたので、以下引用。

かつてあれほど一夫一婦的な婚姻制度の痛烈な批判者であったリブは、フェミニズムは、どこにいったのだろうか。もしフェミニズムが法的な制度改革をめざすとすれば、むしろ、婚姻が法的な権利を伴うようなあらゆる制度を廃止する方向に動くべきであろう。

(中略)ただへテロセクシュアルでモノガマスな関係を法的な権利として特権化するどのような制度も支持しないというだけのことである。(p253-254、『発情装置 エロスのシナリオ』


よって、上野さんは、同性婚もパックス法も法律婚を基準とした上でのバリエーションでしかなく、同性婚もパックス法も「ありとあらゆる手段を尽くして結婚の間口を広げている」(p113、小倉さんの発言)と考えているとのこと。

なお、上野さんは、同著にて、

わたしの立場はフェミニズムのある部分にすぎず、フェミニズムを代表しない。わたしが日本のフェミニズムを代表なぞしたら、迷惑だと思っている自称フェミニストたちがこの日本にはたくさんいることは承知している。(p251、『発情装置 エロスのシナリオ』


とおっしゃっていますので、フェミニストのすべてが結婚制度の廃止を主張しているわけではありませんので注意してください。それに、なにせ、フェミニズム業界では、

小倉:業界を見てみなさい。自信のない人から順に結婚していきはるやないですか。制度で男を縛っとかないと不安なんだ。あーあ、また余計なことを言うてしもた。

上野:ハッハッハ。


というのが現状だそうですので(笑)。


【リベラリズム;弁護士 角田由紀子さんの主張】

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日本で行われていることは、少子化対策と騒ぎながらも、子どもを純粋に大切にすることではない。法律婚を選択しない男女のカップルであっても、子どもを産んで責任を持って養育している人は少なくない。

次の世代の人的資源を育成する貢献する人を優遇するというのであれば(そのこと自体の当否はおくとして)、子どもを持つカップルかシングルマザーを直接優遇すればいいことで、法律婚を優遇する必要はない。

あるいは、子どもを育てたいという同性愛者に養子縁組を認めて、子どもの養育者としての法的保護を与えることが、考えられてもいい。(p44、『性差別と暴力―続・性の法律学 』(有斐閣選書)


ということで、法律婚を優遇する必要性はない、と。そして、「次の世代の人的資源を育成する」ために「少子化対策」をするならば、子どもを持つ人を「直接優遇すればいい」とのことで、リベラリストとして正当な主張であります。また、夫婦別姓については、以下。


選択的夫婦別姓制度は、別姓でも婚姻届が出せるということで、法律婚も間口を広げることであり、より多くの人を法律婚に取り込む結果になる。その意味では、保守派の人たちも反対する必要はないのではと思うのだが。

多くの人が「ごく自然に」法律婚を「選び」、それが社会福祉その他の制度の基礎になっている日本のような社会では、法律婚そのものを解体することを考えるより、その恩恵をできるだけ多くの人に行渡らせる方策をとるのは、1つの考え方ではある。(p45、『性差別と暴力―続・性の法律学 』(有斐閣選書)


現実的にはその方向しかないと私も思います。

【リバタリアニズム;法哲学者 森村進さん】

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「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本と」すると憲法第二十四条一項が規定している日本だけでなく、現代の大部分の国家は一夫一婦制だけを法的な婚姻の形態として認めている。これは同性間の婚姻も、一妻多夫も、一夫多妻も、群婚も、法的には認めようとしない。

これは多様なライフスタイルに対して明確に偏頗(へんぱ)な立場を取っており、リバタリアン的な中立性とは相容れない。

この不平等を是正するためには、一部の国々で部分的に実現しているように、これらの少数派の婚姻の形態も法的に認めるという対策も考えられる。しかしそもそも婚姻という制度を法的に定めなければならない理由は明らかでない。

実際には多くの法制度は色々な点で既婚者を独身者よりも優遇しているが、この優遇も法の下の中立性と衝突するから、もっと根本的に、婚姻という制度を法的には廃止すべきである。(p161、自由はどこまで可能か―リバタリアニズム入門 (講談社現代新書))


とのことで、基本的には、結婚制度の廃止を主張している。また、森村氏は「私はかつて夫婦別姓問題に関連して“各個人は自分の姓を自由に変えられるべきだ”というリバタリアンな主張を新聞紙上に発表した」(同書、p6)とのことですが、バカにされたとのこと(苦笑)。私個人は、名前は変えてもいいんですが、苗字は気に入っているので何とも言えないけれど、とにかく、日本でも苗字くらい好きに変えられるようになればいいのにな、とは思いますわ。

ということで、理論的には、思想的また政治的立場に関わらず、結婚制度の廃止を主張している人はけっこういるわけです、はい。

なお、上で引用しました森村氏の主張に見られるように、“理論的な”リバタリアニズム思想においては、いわゆる「法律婚」は無くて問題なし、よってすべての結婚は「事実婚」でOKOK、というのが基本です。

というのも、法的に夫婦という届けを出さなくても、「実質的に、夫婦として生活する」ことは可能ですし、法的枠組みを外して、現実を直視してみればすぐにわかる通り、すべての夫婦は、「実質的に、夫婦として生活する」を実践しているわけであります。

また、そもそも「役所に届けを出す」という行為は、その「法的行為が夫婦とその関係者にどう作用するか?」という作用の側面から考えますと、結婚を決意した双方と双方の家族・友人などが「ふたりは結婚したんだな、なるほどな。」という“思い込みを強化する”働きをするのみです。

よって、結婚届けを役所に提出するという行政手続きは、手続きとして明らかにムダがあり、どうせ思い込みなんだから、勝手に“宣言”だけすれば済むことですし、役所の余計な事務仕事を減らして合理化するためにも、無くても別にいいんじゃないのかな、と私などは思います、はい。

ちなみに。心理学的には、さらに「結婚式」と呼ばれている行事を行うと、この種の「思い込み」が深まる効果があり、また、お金をかければかけただけ、損失回避の心理がスムーズに稼動し、この種の思い込み効果はさらに加速します。なので、結婚生活を必要以上に長引かせたい人は、法律婚をした上で、結婚式に莫大なお金をかけると一層効果的です。

話が脱線したので元に戻しますと、しかし、事実として、法律婚制度が存在しているにも関わらずそれを廃止した国はありません。また、世界的な流れとしては、法律婚を廃止するのではなく、法律婚を基本形とした「同姓婚」や「パックス法」などを法的に認めるという方向性へ向かっております。

よって、理論どうこうは置いておいて、現実的には、法律婚制度を廃止するという方向性でこの問題を考えるのは明らかにムダですので、方向性としては結婚制度を多様化していくしか道はないんじゃないのかな、と。なにせ、実務的には、存在しているものを無くす、というのは、すご~~く難しいことなので。。(付け足す、のは簡単なんだけどね。。)

ということで、とりあえず今回は以上です。
(続く・・・・・)
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テーマ:家庭と仕事 - ジャンル:結婚・家庭生活




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【2013/08/14 21:41】 | #[ 編集]














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